働きがいのある会社

働きがいのある会社の取り組みとは
 これまで数百社の先進企業を取材した中で「働きがいのある会社」として定評のある企業には共通する取り組みがあるので紹介をしたい。
 まず働きがいの定義だが、ここでは「会社と社員の信頼関係」としたい。働きがいのある会社として社外評価の高い企業への取材でも「信頼関係」をキーワードに挙げたケースが少なくなかった。この信頼関係を高めるための施策の1つが「会社と社員」「上司部下」などのコミュニケーションである。
 コミュニケーション施策には量と質が求められるが、「働きがいのある会社」の特徴としてコミュニケーションの範囲が広い。仕事だけでなく、その人の価値観や趣味など、プライベート的なことまでを扱っている事例が少なくなかった。例えば読書会を開催して、各社員の価値観や人生観などを共有する取り組みを行っている企業や、社内のウェブ番組で新人をゲストに招いて、その人の趣味や好きなことをインタビューをして社内で共有する取り組みなどもあった。
 さらに感情を重視したコミュニケーションを行っているケースも多かった。
心理的安全性という言葉が聞かれて久しいが、各社への取材でも働く人の感情(気持ち)がパフォーマンス発揮やマネジメントという観点でも重要になっているのを感じる。個人の感情を尊重したコミュニケーションやマネジメントは上司部下の関係性向上だけでなく、各社員の安心感醸成などの効果も期待できる。
 働きがいのあるNo.1企業として表彰された企業は「その人のすべてに注目する」マネジメントを行っていた。「仕事だけに焦点を当てたマネジメント」からプライベートを含めた「その人すべてに注目するマネジメント」への転換だが、キーとなるのが社員の感情だ。業務だけでなく私的な場でのわくわく感なども共有をして、それをマネジメントに活かしているのが印象的だった。この企業は仕事以外の場でのわくわく感は能力発揮だけでなくイノベーションという観点でも良い影響があると考えからマネジメント改革を行った経緯がある。
 組織変革を行ったある企業では働きがいを分析していた。いくつかの要素と働きがいとの相関を提示しながらも、特に「仕事と評価の納得性」の要素が大きく、そのベースとなる上司と部下の信頼感(コミュニケーション)が重要であると結論づけている。
このように働きがい向上にはコミュニケーション(マネジメント)の要素が大きい。コミュニケーションの量を増やすだけでなく、その質や範囲なども含めてコミュニケーション(マネジメント)を定義し直す必要性が高まっている。そのコミュニケーション(マネジメント)ポリシーを施策や制度に反映することが働きがいのある会社につながると考える。

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