多くの外国人が活躍する会社を経営する後藤氏が選んだ「外国籍社員の定着・活躍施策NO.1」はGTNフェスだ。これは年末恒例の大規模イベントで、その年に活躍した社員を総選挙で選び表彰する。他にも社員によるスピーチコンテスト、クイズ大会など充実したコンテンツ目白押しのイベントだ。
アカデミー賞をイメージしたというGTNフェスの演出は後藤社長を中心に行われるがメインイベントの1つはGTN総選挙の発表および表彰だ。事前に全社員が「今年活躍したと 思う人」3名をランク付けして投票する。その発表を当日、16位から順次行っていくが1位になった社員が感動して涙を流すことも珍しくないという。後藤氏はこのような承認欲求を満たす場が重要だと考えている。「業績目標の達成などの表彰ではなく、その社員の頑張りが認められるステージが重要です。例えば給与が上がって感動して泣く人は少ないと思いますが、GTNフェスの表彰では 嬉しさで泣き崩れる社員もいるほどです。社員の心を動かす象徴的な取り組みがGTNフェスです」
当日は新人、アルバイトなども表彰するが、最近では社長賞も発表するようになった。
これは最もGTNのビジョンを体現している社員を1人選び 、表彰式では海外の親からのビデオレターを流すという演出も行う。本人の親からのメッセージは会場全体に流され 、ここでも本人だけでなく会場全体が感動に包まれるという。表彰制度を導入している企業も少なくないが、異国の地で頑張る外国籍社員だからこそ母国の親からのメッセージは本人だけでなく他の社員にとっても心が揺さぶられるのかもしれない。
スピーチコンテストもGTNフェスの目玉イベントの1つだ。これは会社への思い、会社の未来などを全社員の前で発表するコンテストだ。事前に予選会が実施され、通過した社員はGTNフェスでスピーチを行い最優秀賞を決定する。「自社の将来を一般社員が話すことでほかの社員は刺激をうけます。一緒に働いていた仲間がこのような視点で会社を見ていたのかという驚きもあるようです。」
同社の取り組みは社員の感情に訴求する内容が多い。遊び心のある施策も多く、楽しそうに働く社員が印象的だ。そのような雰囲気に惹かれてGTNへの転職を希望する日本人も増えているようだ。制度づくりやイベント演出の中心的な役割を果たしてきた後藤氏は社員の心を動かす秘訣を次のように明かす。「正直、新しい取り組みや演出する前は不安があります。上手くいくだろうかとか盛り上がるだろうかとか。しかし社員のために一生懸命行うという姿勢や想いは相手に伝わるものだと思います。弊社の制度や取り組みは手抜きをせず全力で行うのが特徴です。作り手側の“最高に良いものを作ろう”という姿勢が社員に見えることで感動が生まれるのかもしれません。」
同社は各社の人事担当の負担を軽減する新サービス「GTN LIFE SUPPORT」をリリースするなどさらなる成長が期待されるが、後藤社長は外国人社員の定着について次のようにまとめる。「外国人だからといって特別な気遣いや遠慮は必要ありません。しかし少しの配慮は必要で、それが社員の定着につながると感じています。そのためには相手の立場を想像することが役立つと思いますね。例えば外国人 ばかりの職場で日本人である自分が働くことになった場合、どのようなことをされたらうれしいかなどを少し考えてみるだけでも良いと思います。このような小さな気配りや配慮、そして感情に訴求する取り組みや制度などは今後の企業の差別化要因にもなっていくと考えています。」