<取り組みの背景>
デジタルマーケティング支援を行うメンバーズは1995年創業、2006年に上場を果たしているがその後、業績悪化や社員離職などで経営危機を経験している。この原因の1つが社員の働き方で長時間労働が常態化しているような状況だった。このような背景から同社は働き方を変えるプロジェクトに着手するようになり、2016年に「みんなのキャリアと働き方改革」が開始された。この3か年プロジェクトの目的として①年収20%アップ②残業時間50%削減③女性管理職30%の3つを掲げたが、この取り組みはそれまでの活動がベースとなっている。
■ミッション・ビジョン・バリュー策定
2013年から14年にかけて全社員でワークショップを実施してミッション・バリューを策定。会社の価値観が明確になり、ミッション採用を開始。
■北欧視察
2016年頃から経営層らが幸福度の高い国を視察。海外ではデンマーク、国内では福井県などの企業や教育機関などを直接訪問。この経験を通して心理的安全性を担保し、各自が自由に意見を言える組織の重要性を学んだが、同社の女性管理職比率向上の目的も多様性を重んじた合意形成を図る中で各社員の意見を経営に反映させる狙いがある。同社の女性社員比率は現在40%を超えるが、女性社員が多い同社にとって女性活躍推進の必要性は高まっていた。
<Womembers Program推進委員会スタート>
2016年から女性活躍推進3か年計画<Womembers Program>がスタート。推進体制としてWomembers委員会が発足され、経営トップが責任者就任。
プログラム1年目は全国の拠点も含め全社的な座談会を実施。両立支援制度など各種制度の利用率向上などをテーマに話し合うなど社員の声を吸い上げた。同時に女性管理職を増やすためにリーダー予備軍育成の方針や活躍できるポジションの用意なども話し合っている。実際に2018年の社長公募制により新卒3年目(当時)の女性社員が子会社の社長に就任した実績がある。
プログラム2年目は男性の両立支援策の強化を打ち出しパパ社員を支援。もともと同社の取り組みは女性だけでなく全社員の働き方を変えて生産性向上を目指すのが目的だ。そのため男性社員の両立支援を強化した経緯があるが、その利用率も現在50%を超えている。「男性マネジャーの意識変革や男性自身の働きやすい環境をつくる目的等もありパパ社員の両立支援を打ち出しました。男性マネジャーが育休を取得しても元のポジションに復帰するのが基本ですが、これも取得者が増えた一因だと考えています。この3年間で男性マネジャーや管理職などが育休をとるのが普通になったことは大きな変化だと思います。男性マネジャーが働き方や意識を変えることは女性活躍推進にもつながります」執行役員 早川智子氏
3年目は委員会のメンバーも初期の10人ほどから20人超となり男性メンバーも増えた。最終年はファミリーデーなどのイベントを実施した。2019年には同社初の女性執行役員2名が誕生している。