イノベーション風土醸成と起業家人材の育成を目指す
博報堂DYホールディングスがビジネス提案・育成制度「AD+VENTURE」(アドベンチャー)を開始したのは2010年。その背景にはリーマンショックを発端とした世界規模でのビジネス環境の悪化があった。アドベンチャーは社内の沈滞状況の打破、そしてイノベーション風土の醸成や起業家人材の育成などを目的に開始された。
アドベンチャーはグループ横断の社内公募型ビジネス・育成制度で59社を対象に実施する大規模な取り組みだ。これまでの取り組みで19事業が誕生。12社が事業継続するといった著しい成果も残している。(2020年取材時)アドベンチャーの特徴は主に①事業化目的に実施②応募間口が広い③充実したサポート体制と研修等が挙げられる。
アドベンチャーはエントリー受付、1次審査、2次審査通過後の事業化(テストマーケティング)というのが大まかな流れとなる。審査基準(1次2次共通)は①市場性②収益性③実現性④事業規模⑤成果の出るサービス⑥人物評価だが2次審査で役員承認を得たチームは新会社を設立。その後1年間(1年半)テストマーケティングを行い、KPI達成の承認された事業は博報堂DYホールディングスの中で事業譲渡交渉がされ連結子会社の社長として事業を継続する。このようにアドベンチャーは事業化を前提に実施されるのが大きな特徴の1つだが、応募の間口が広く応募のハードルが低いこともポイントだ。
提案制度は継続化が重要だ。アドベンチャーが10年以上継続された要因の1つは応募への敷居の低さ、間口の広さ等がある。まず1次エントリーに上司の許可が不要だ。そして正社員と組めば契約社員、派遣社員、外部の人も応募できる。さらにエントリー手続きも簡素化を図っている。2020年度からはオンラインでの開催に切り替え海外を含む遠隔地からも応募ができるようになっている。
※引用参照 「月刊人事マネジメント」2021年2月号の取材記事を再構成して掲載。